
スタイリスト四方章敬さんが手がけるブリティッシュメイド オリジナルコレクションの中でも、定番として不動の人気を誇るネイビーブレザー!クラシックをベースにしたスタイリングを得意とし、自身も数多くのテーラードジャケットを愛用する四方さんのこだわりが炸裂した力作です。今回、待望の再入荷と、新サイズXLがラインナップに加わりました。 「トラッドの基本であり、あらゆるブランドがラインナップする紺ブレ。でも、実は自分が心から着たいと思えるものが、今までありそうでなかったんです。スタイリストとして“こんな紺ブレがあったいいな”と思える一着、そして何より、自分が本当に欲しいと思える一着を作ろう!そんな熱意をもって制作にあたりました」と四方さん。その結果、ベーシックでありながら唯一無二の独自性を備えた紺ブレが完成しました。その全貌をご覧に入れましょう。
既存の型にはまらない、ハイブリッドな紺ブレ
「テムズ」と名づけたオリジナルのネイビーブレザーは、“クラシックとリラックスの最適な融合”をテーマに開発がスタートしました。
「目下、久々の紺ブレブームに沸くファッション業界。その影響でかつてないほど多くのブランドから紺ブレが登場していますが、それらは概して、昔ながらのスタイルを忠実に踏襲したトラッド系、イタリア仕立ての影響を受けたドレス系、ルーズフィットなデザイナーズ系の3種類のみ。でも僕としては、それらの中間をゆくバランスが理想的でした。直球のトラッドでもなく、ドレス系よりも気楽に着られて、それでいてあくまで大人っぽい。そんなバランスの紺ブレが欲しかったんです。後で解説するとおり、1920年代の英国ジャケットにも通じる特徴を備えていますが、ヴィンテージ回顧というよりもあくまで“今のクラシック”を追求してたどり着いたバランスですね」(四方さん)
以下、その詳細を見ていきましょう。
BRITISH MADE ー シングルブレザー「テムズ」

セオリー破りの“微Aライン”が今どき感の秘訣
やや高めの位置でロールするラペルから弓なりの曲線を描き、裾のカーブを後ろ側へ逃がすカッタウェイフロントにデザインした「テムズ」。前身頃のダーツを省きボディに適度なゆとりをもたせる一方で、肩幅は若者系紺ブレにありがちなドロップショルダーではなくジャスト幅に。フロントボタンを開けると、ゆるやかなAラインを描き出すのが特徴です。肩パッドを省きつつ、ショルダーラインの傾斜を強めに設定して“なで肩”に見せているのもポイント。これらは1920年代の英国ジャケットにも共通するデザインです。
「現代のジャケットは裾先が腰を包み込むように設計するのが普通で、コートのように裾が広がるAラインはNGとされていますが、あえてそこに挑戦しました。このほうがリラックス感の高い印象に仕上がり、僕が理想とする佇まいを表現できたためです。ただ、この微Aラインは実現するのが非常に難しく、最初に上がってきたサンプルでは裾が開きすぎてアンバランスでした。そのあたりを慎重に調整したことで、絶妙なシルエットを実現できたと思います。裏話になりますが、『テムズ』の型紙を依頼したのは業界でも有名なベテランパタンナー。こんな掟破りを受けてくれるかと不安だったのですが、逆に“普通のジャケットよりも面白そうじゃないか!”と快諾していただきました。とてもありがたかったですね」(四方さん)

リラックスしつつ立体美も叶えるアンコン仕立て
リラックス感を表現するため、芯地などを極力省き、身頃の裏地をゼロにしたアンコン仕立てを採用。表地をジャケットの内側まで広く伸ばした“大見返し”仕立てにより、芯地を省きつつ保形性を維持しています。
「仕立ては極力軽く、が僕のイメージでした。しかし、シャツのようにペラペラしたものでは貧相。そこで、アンコンジャケットを作らせたら国内屈指と称される実力派ファクトリーに生産を依頼し、軽くても立体感のある一着に仕上げていただきました。ゆとりをもたせているのに汚いシワが入らず、ゆったりとしたドレープを描き出しているのがポイントです」(四方さん)
